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仮面城(日文版)-第7部分

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 それでも三太はひっしになって、
「おじさん、どいてよ。ぼく、散步してるんだ」
「なんだ、散步だと。なまいきなことをいいやがる。よしよし、散步をするならいいところへ連れてってやる。待ってろよ」
 傷の男はポケットから平たい銀色のいれものをだした。そして、パチッとそれをひらくと、なかからとりだしたのは、グッショリぬれたハンカチだった。
 三太はハッと危険を感じて、
「おじさん、かんにんして……!」
 と、身をひるがえして逃げようとしたが、その首すじをむんずととらえて、ひきもどした傷の男は、やにわにぬれたハンカチを、三太の鼻にあてがった。
「あ、あ、あ……!」
 三太はちょっと、手足をバタバタさせたが、すぐに、ぐったりと気を失ってしまった。
「どうした、あにき、うまくいったか」
「さいくはりゅうりゅうよ。クロロホルムのききめに、まちがいがあってたまるもんか」
「よし、それじゃおれがかついでいこう。しかし、だれも見てやしなかったろうな」
「だれが見てるもんか。出帆だ。急ごうぜ」
 三太をかついだふたりの男は、そのまま船のなかに、すがたを消して、やがて、あのいまわしい怪汽船、宝石丸は岸ぺきをはなれた。
 だが、これらのようすを、だれ知る者もあるまいと思いのほか、さっきからできごとを、残らず見ていた者があった。
 しかも、そのひとというのが、大野老人の助手、あの口のきけない牛丸青年なのだ。
 牛丸青年も劇場から、大野老人のあとをつけ、さっきからものかげにかくれて、ようすをうかがっていたのだが、いままさに、船が岸ぺきをはなれようとするせつな、ものかげからとびだすと、パッといかりにとびついた。
 いかりは水面をはなれると、ガラガラと、しだいに高くまきあげられていく。そのいかりに両足をかけ、ふとい鉄のくさりにすがりついた牛丸青年のすがたは、まるで船についたかざりかなにかのように見えた。
 そんなこととは夢にも知らない、宝石丸の伣M員は、船をあやつりそのまま遠く、枺┩澶韦胜郡摔工郡蛳筏皮い盲俊
 金田一耕助の一行が、かけつけてきたのは、それから間もなくのことだったが、そのじぶんには船体はおろか、船のはきだす煙さえも、もうそのへんには残っていなかったのだった。

     文彦の秘密

 金田一耕助や等々力警部が、じだんだふんでくやしがったことはいうまでもないが、それにもまして力をおとしたのは、文彦と香代子である。
 ああ、その船には文彦のおかあさんと、香代子のおとうさんが、とらわれびととなってのっているのだ。そのいどころがやっとわかって、やれうれしやと思う間もなく、船はまた、ゆくえ知れずになったのだった。
「なあに、心配することはないさ。船の名もわかっているんだから、すぐ手配をしてつかまえてしまう。まあ、安心していなさい」
 等々力警部は、文彦と香代子の肩をたたいて元気づけた。
「それにしても三太はどうしたろう。あいつもひょっとしたら悪者につかまえられたのじゃないでしょうか」
 金田一耕助は心配そうな顔色だった。
 一同は、それからすぐに、海上保安庁へかけつけて、怪汽船、宝石丸のゆくえをさがしてもらうようにたのみこんだ。
「さあ、こうしておけばだいじょうぶだ。あしたまでには船のゆくえもわかるよ。ああ、もうすっかり日が暮れたな。とにかくいちおう、警視庁へ帰ろうじゃありませんか」
 そこで、一同が警視庁へひきあげてくると、そこには意外なひとが待っていた。それは文彦のおとうさんだった。
 金田一耕助は、ゆうべ文彦のおかあさんがさらわれると、すぐに大阪の出張先へ電報をうっておいたのだが、おとうさんはそれを見て、大阪からひきあげてきたというわけなのである。
「ああ、おとうさん!」
「おお、文彦か。くわしいことは刑事さんたちから話をきいたが、おまえもさぞ心配したろう。ところで、金田一さん、等々力警部さん」
「はあ」
「いろいろお世話になりましたが、実はこんどのことについて、あなたがたにきいていただきたいことがあるのですが……」
 なんとなく、文彦にえんりょがあるらしいおとうさんの顔色に、
「ああ、そう、それじゃどうぞこちらへ」
 と、警部が案内したのは隣のへやだった。おとうさんは、金田一耕助と等々力警部の三人きりになると、やっと安心したように、
「お話というのはほかでもありません。実はあの文彦のことですが……」
「文彦くんのこと……?」
「そうです。こんなことはあの子に知らせたくないのですが、実は、あれはわたしどものほんとの子ではないのです」
「な、な、なんですって!」
 金田一耕助も等々力警部も、思わず大きく目を見張った。
「そうです。あれは捨て子でした。香港のある公園でひろったのです。ちょうどそのころ、わたしたち夫婦は、子どもがなくて、さびしくてたまらなかったところですから、これこそ神さまからのさずかりものと、大喜びで、ひろって育ててきたのです。それがあの文彦です」
 金田一耕助は等々力警部と顔を見合わせながら、
「それで、文彦くんのほんとうのおとうさんや、おかあさんは、ぜんぜんわからないのですか?」
「わかりません。ただ、赤ん坊をくるんであったマントの裏にロ拮证恰ⅴ‘ノという名まえがぬいとってありました」
「オ韦扦工盲疲俊
 金田一耕助はからだをのりだして、
「それじゃ、文彦くんにダイヤをくれた大野健蔵という老人が、ひょっとすると、文彦くんのおとうさんかも知れない……と、いうことになるんですか?」
「そうかも知れません。しかし、わたしにはただ一つ、気になることがあるんです」
「気になることというのは……?」
「ちょうど、文彦をひろったじぶんのことです。新聞に、香港を旅行中の、有名な日本の科学者がゆくえ不明になったという記事がでていたことがあるんです。ひょっとすると、当時香港をあらしていた、銀仮面という盗伽韦筏铯钉扦悉胜い趣いΔ长趣扦筏郡ⅳ郡筏胜长趣悉铯辘蓼护蟆
 ところで、その科学者の名まえですが、それが大野|秀《ひで》|蔵《ぞう》博士というのです。しかもそのとき、博士のおくさんも、生まれたばかりの、まだ名もついていなかった赤ん坊も、いっしょに、ゆくえ不明になっているのです」
 ああ、こうして、文彦にまつわる秘密のベ毪稀ⅳ筏坤い摔悉欷皮い韦坤盲俊
【 日本大观园 。jp118。 】友情整理
     文彦の父

 文彦はほんとうは、竹田家の子どもではなかったのだ。赤ん坊のころ、香港の公園でひろわれた捨て子だったのだ。そして前後の事情から考えると、文彦はそのじぶん、香港でゆくえ不明になった有名な科学者、大野秀蔵博士の子どもではないかと思われるのだ。
 それでは、文彦のほんとうのおとうさん、大野秀蔵博士はどうしたのだろう。そのころのうわさによると、大野秀蔵博士は、怪盗銀仮面にゆうかいされたのだということだが、はたしていまでも生きているのだろうか。
 それにしても恐ろしいやつは銀仮面だった。そのむかし、秀蔵博士をゆうかいしたばかりか、いままた、文彦の義理のおかあさんや、文彦にダイヤをくれた大野健蔵老人をゆうかいして、怪船『宝石丸』にのって、いずこともなく連れ去ってしまったのだ。ああ、ひょっとすると、その大野健蔵老人と、大野秀蔵博士とのあいだには、なにか関係があるのではないだろうか。
 それはさておき、文彦のおとうさんから、文彦の秘密を聞いた金田一耕助と等々力警部は、すぐに香代子を呼びいれた。
「お嬢さん、あなたのお名まえは大野香代子ですが、ひょっとすると、十何年かまえに、香港でゆくえ不明になった大野秀蔵博士と、なにか関係があるのではありませんか?」
 香代子はハッとしたように、一同の顔を見まわしたが、やがて低い声で、
「そうなのです。秀蔵博士は父の弟、つまりあたしのおじさんにあたるかたです」
「なるほど、そして文彦くんは、秀蔵博士の子どもさんなのですね」
 香代子はまたハッとしたが、これいじょう、かくしてもむだだと思ったのか、
「そうでした。父は長いあいだ、文彦さんをさがしていましたが、近ごろやっと、竹田新一郎というかたに、育てられているということがわかったのです」
「すると、文彦くんはあなたのいとこですね。なぜ、いままでそれをかくしていたのですか」
「それは……」
 香代子はためらいながら、
「文彦さんをじぶんの子として、育ててくださったいまのご両親に、無断でそんなこといっちゃ悪いと思ったのと、文彦さんが秀蔵博士の子どもとわかると、銀仮面のために、文彦さんがどのような恐ろしい目に、あわされるかも知れないと思ったからです」
「香代子さん」
 そのとき、警部にかわって、そばから口をだしたのは金田一耕助だった。
「銀仮面はなにをねらっているのです。ダイヤですか。それともダイヤよりもっとたいせつなものをねらっているのじゃありませんか?」
 それを聞くと、香代子はサッと、まっ青になった。金田一耕助はひざをのりだし、
「ねえ、香代子さん、あなたがたは、なぜそんなにビクビクするんです。なぜ、なにもかもうちあけて、警部の力をかりないんです」
「いいえ、いいえ、それはいけません」
 香代子は恐怖にみちた声をはりあげて、
「おじさま、秀蔵博士はまだ生きていらっしゃるのです。銀仮面のために、どこかにとじこめられていらっしゃるのです。あたしたちが、うっかりしたことをしゃべったら、銀仮面は、おじさまを殺すというのです。だから……あたしたちはなにもいえないのです」
 それを聞くと一同は、思わずギョッと顔を見合わせた。文彦のほんとうのおとうさんが生きている。十何年もの長いあいだ、銀仮面のために、どこかにとじこめられている。それはなんという恐ろしいことだろう。
「香代子さん、銀仮面とは何者です。いったいだれなんです」
「知りません、存じません。それを知っているくらいなら、こんな苦しみはいたしません。あいつはじつに恐ろしいひとです。あたしたちのすることは、いつもどこかで見ているのです。ひょっとすると、いまあたしがこんな話をしていることも、あいつは知っているかも知れません。ああ恐ろしい、銀仮面!」
 香代子は両手で顔をおおうと、風のなかの枯れ葉のように、肩をぶるぶるふるわせた。
 ああ、それにしても銀仮面とは何者か。そしてまた、さっき金田一耕助がいった、ダイヤよりもっとたいせつなものとは、いったいなんのことなのだろうか。

     樹上の怪人

 その夜の十二時ちょっとまえ、文彦はただひとり、さびしい井の頭公園の池のはたに立っていた。
 きみたちも覚えているだろう。銀仮面はおかあさんを連れ去るとき、あすの晚十二時に、黄金の小箱を持って、井の頭公園へくるようにという手紙を、文彦の家のポストのなかへ投げこんでいったことを!
 おかあさんが宝石丸にとらえられていることが、わかったいまとなっては、銀仮面がその約束を、守るかどうか、うたがわしいと思ったが、それでも、念のために、いってみたらよかろうという、金田一耕助の意見で、文彦はいま、黄金の小箱をポケットに、公園のなかに立っているのだった。
 公園には金田一耕助と等々力警部、ほかに刑事がふたり、どこかにかくれているはずなのだが、文彦のところからは見えない。
 空はうっすらと曇っていて、ほのぐらい井の頭公園は、まるで海の底か、墓地のなかのようなしずけさである。井の頭名物のひとかかえ、ふたかかえもあるような、スギの大木がニョキニョキと、曇った空にそびえているのが、まるでお化けがおどっているように見えるのだ。
 文彦はそういうスギの大木にもたれかかって、さっきからしきりにからだをふるわせていた。こわいからだろうか。いや、そうではない。銀仮面が約束どおり、おかあさんを連れてきてくれるかどうかと考えると、きんちょうのためにからだがふるえてくるのだ。
 おかあさん、おかあさん……。
 文彦は心のなかで叫んだ。おかあさんさえ帰ってきてくれたら、ダイヤもいらない、小箱もいらない、なにもかも銀仮面にやってしまうのに……。
 どこかで、ホ郓‘と鳴くさみしいフクロウの声。池のなかでボシャンとコイのはねる音。遠くのほうでひとしきり、けたたましくほえるイヌの声……だが、それもやんでしまうと、あとはまた墓場のようなしずけさにかわった。
 文彦は腕にはめた夜光時計を見た。かっきり十二時。ああ、それなのに、銀仮面はまだあらわれない。だまされたのだろうか。
 おかあさん、おかあさん……。
 文彦はまた心のなかで叫んだが、そのときだった。風もないのにザワザワと、もたれているスギのこずえが鳴る音に、文彦はギョッとして、上を見たが、そのとたん、全身の血が、氷のようにひえていくのをおぼえたのである。
 スギのこずえになにやらキラキラ光るもの……アッ、銀仮面だ。泣いているとも、笑ってるともわからない、ツルツルとしたあの白銀色のぶきみな仮面。
「うっふふ、うっふふ」
 銀仮面のくちびるから、低い、いやらしい笑い声がもれてきた。
「小僧、よくきたな。いまそっちへおりていく」
 銀仮面はまるでコウモリのように、長いマントのすそをひるがえすと、ヒラリとスギのこずえからとびおりた。文彦は思わず一步うしろへあとずさりした。
 ああ、恐ろしい。その銀仮面がいま、文彦の前に立っているのだ。ピンと一文字につばの張った、山の低い帽子の下に、あのいやらしい銀の仮面が、にやにや笑いをしている。そして、からだはスッポリと、長いマントでくるんでいるのである。
「うっふふ、うっふふ、小僧、なにもこわがることはないぞ。約束さえ守れば、わしは悪いことはせん。小箱を持ってきただろうな」
「は、はい、ここに持っています」
 文彦はポケットをたたいて見せた。
「それをこっちへよこせ」
「いやです」
「なんだ、いやだと?」
「おかあさんを、先にかえしてくれなければいやです。おかあさんはどこにいるんです」
 それを聞くと銀仮面の仮面の奥で、二つの目が、鬼火のように気味悪く光った。

     消えた銀仮面

 ちょうどそのころ金田一耕助は、文彦から三百メ去毪郅嗓悉胜欷俊⒉荬啶椁韦胜摔欷皮い俊
 金田一耕助ばかりではない。等々力警部やふたりの刑事も、文彦をとりまく位置に、めいめい三百メ去毪郅嗓悉胜欷郡趣长恧摔欷皮い毪韦馈¥坤椤€y仮面がどの方角からくるとしても、だれかの目にふれずにはいられない。銀仮面のすがたを見たら、いったんやりすごしておいて、あとでそっと知らせ合うことになっているのだ。
 それにもかかわらず、いまもってどこからも合図のないのはどうしたことか。時計を見ると十二時三分。金田一耕助はしだいに不安がこみあげてきたが、そのときだった。
「だれかきてくださぁcy仮面です!」
 たまげるような文彦の声。金田一耕助はそれを聞くと、イナゴのように草むらからとびだし文彦のほうへいっさんにかけていったが、するとそのとき、むこうのスギの木かげから、パッととびだしてきたのは銀仮面。
 銀仮面は耕助のすがたを見ると、クルリと身をひるがえし、左手の丘をかけのぼっていく。
 しめた、その丘の上には、等々力警部が見張りをしているはずなのだ。
「警部さん、警部さん、銀仮面がそっちへ逃げましたぞ!」
 金田一耕助も丘の小道へかかったが、そこへやってきたのは文彦である。
「あ、金田一先生!」
「おお、文彦くん、きみもきたまえ!」
 ふたりが丘を半分ほどのぼったときだった。丘の上からピストルをうちあう音。金田一耕助と文彦は、ギョッとして顔を見合わせたが、すぐまた、すばやく坂をかけのぼった。
「吉井くん、村上くん、銀仮面がそっちへいくぞ!」
 丘の上から等々力警部の声。吉井、村上というのは見張りの刑事なのだ。金田一耕助と文彦はその声をたよりに、曲がりくねった坂道をのぼっていったが、ふいに文彦が、なにかにすべってよろけてしまった。
「文彦くん、どうした、どうした?」
 文彦は懐中電燈で足元を照らして見て、
「アッ、先生、こんなところに血が……」
 見れば道の上にべっとりと、血がこぼれているのだ。金田一耕助と文彦は、おもわず顔を見合わせた。
「先生、銀仮面はけがをしたのですね」
「そうらしい、警部のたまがあたったのだろう。この血のあとを伝っていこう」
 しかし、そこはひざもうまるほどの草むらなので、血のあとはすぐに見えなくなってしまった。その広い草むらには、あっちに二本、こっちに三本と、スギの大木がまもののように、暗い夜空にそびえている。
 ふたりがその草むらをわけていくと、またピストルをうちあう音。ふたりが顔をあげて見ると銀仮面が草をわけてよろよろと、こっちのほうへやってきた。そしてその三方からじりじりとせまってくるのは、等々力警部にふたりの刑事。金田一耕助もそれを見ると、警部にかりたピストルをとりだした。
 ああ、もうこうなれば銀仮面は、袋のなかのネズミもおなじことである。
 銀仮面はそれでもまだ、降参しようとはせず、あちらのスギ、こちらのスギと、たくみに身をさけながら、逃げられるだけ、逃げようとするようだ。それをとりまく五人の輪は、銀仮面を中心に、しだいにせばめられていった。
 と、ふいに身をひるがえした銀仮面は、また一本のスギの木かげにかくれた。そのスギの木というのは、地上三メ去毪郅嗓胃撙丹乔肖椁欷壳肖曛辘坤⑻丹趣い盲郡椤⒍ㄒ陨悉猡ⅳ恧Δ趣いΔ筏恧猡危郏!袱筏恧猡巍工税悖荬扦ⅳ搿
 五秒――十秒――、銀仮面は切り株のかげにかくれたまますがたを見せない。その切り株をとりまいて、四方からじりじりとせまっていくのは警部や刑事や金田一耕助。とうとう一同は、ほとんど同時に、切り株のそばへたどりついたが、そのとたん、キツネにつままれたように顔を見合わせた。
 ああ、なんということだろう。銀仮面のすがたはどこにも見えなくなっていたのだった。

     窓にうつる影

「そんなはずはない。そんなばかなことはない。あいつだって血と肉でできた人間なんです。煙のように消えるなんて、そんなばかな……!」
 一同があっけにとられてポカンとしているとき、そう叫んだのは金田一耕助である。怒りにみちた声だった。
「どこかにかくれているんです。さがしましょう。もっとよくさがすんです」
 しかし、いったいどこをさがせばいいのか。五人の人間が五人とも銀仮面がこの切り株の陰へはいるところを見たのである。しかもだれひとり、そこから出るところを見た者はいない。銀仮面はこの切り株のなかへ吸いこまれたのだろうか。
 そうだ。銀仮面は切り株のなかへ吸いこまれたのだ。それを
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